ねじりまんぽ特集

ねじりまんぽとは

 まず、「まんぽ」の説明からさせて頂きます、「まんぽ」と言う言葉は、線路の下をくぐるトンネル状の通路のことで、すなわち短いアーチ橋のことを示す古い方言で関西地方を中心に北陸、東海、長野地方で使われています。

 呼び方は地域によって少し異なり「まんぽ」「まんぼう」「まんぼり」「まんぷ」「まんぷう」など様々で、岐阜や三重では農業用水路のトンネル(カナート)に対しても使われている。

 「ねじりまんぽ」とはレンガや石積で作られたアーチ状のトンネルで線路の路盤に対して斜交(斜めに交わっている)している道路や水路のためにアーチ橋を斜めに架けるための特殊な技法で、明治7年(1874年)に開業した東海道本線大阪駅~神戸駅間にも存在しているので、この技法が鉄道導入期の外国人技師によって我が国に伝えられたと言えると思います。 

 我が国以外でも明治時代以前に開通したイギリスやフランスの鉄道にも見られるように、我が国独自の技法ではなくイギリスやフランスから日本の鉄道作りのためにやってきた外国人から広められた技法だと言うことの裏づけになると言えます。

 我が国ではレンガ石積み構造物を作った明治時代から大正時代に掛けての開業(開通)した鉄道に多く見られ、北陸地方や愛知、三重、岐阜、滋賀、京都、大阪、兵庫をはじめ四国地方、九州地方で現存しています。

 

ねじりまんぽ一覧
[No] 構造物名称 路線名 現存場所 所在地 散策状況 特記事項
[1] 車場川橋梁 信越本線 荻川駅~亀田駅間 新潟市江南区城山 未訪問 書籍[1]参照
[2] 眼鏡橋 えちぜん鉄道 三国駅~三国港駅間 回答 未訪問 書籍[1]参照
[3] 甲中吹橋梁 東海道本線 穂積駅~大垣駅間 回答 取材予定 書籍[1]参照
[4] 甲大門西橋梁 東海道本線 穂積駅~大垣駅間 岐阜県大垣市新開町 公開中 書籍[1]参照
[5] 小田原川橋梁 東海道本線 垂井駅~関ヶ原駅間 岐阜県不破郡関ヶ原町 公開中 書籍[1]参照
[6] (仮)一ツ軒橋梁 東海道本線 垂井駅~関ヶ原駅間 岐阜県不破郡関ヶ原町 公開中 新発見
[7] 鳥谷川橋梁 関西本線 加太駅~柘植駅間 三重県伊賀市柘植町 公開中 書籍[1]参照
[8] 六把野井水拱橋 三岐鉄道北勢線 楚原駅~上笠田駅間 回答 取材済 書籍[1]参照
[9] 市三宅田川橋梁 東海道本線 野洲駅~守山駅間 回答 取材済 書籍[1]参照
[10] 旧狼川隧道(下) 東海道本線 南草津駅~瀬田駅間 回答 取材済

書籍[1]参照

坑口のみ現存

[11] 兵田川橋梁 東海道本線 石山駅~膳所駅間 回答 取材済 書籍[1]参照
[12] 篠津川橋梁 東海道本線 石山駅~膳所駅間 回答 取材済 書籍[1]参照
[13] 旧東川橋梁 旧東海道本線 膳所駅~大谷駅間 回答 取材済

書籍[1]参照

現国道下

[14] 馬場丁川橋梁 東海道本線 西大寺駅~向日町駅間 京都市南区中久世町 公開中 書籍[1]参照
[15] 円妙寺架道橋 東海道本線 長岡京駅~山崎駅間 京都府乙訓郡大山崎町 公開中 書籍[1]参照
[16] 第248号橋梁 関西本線 月ヶ瀬口駅~大河原駅間 京都府相楽郡南山城村 公開中 書籍[1]参照
[17] 第272号橋梁 関西本線 加茂駅~木津駅間 京都府木津市加茂町 公開中 書籍[1]参照
[18] 第91号橋梁 山陰本線 垂井駅~関ヶ原駅間 京都府南丹市八木町 公開中 書籍[1]参照
[19] 跨道橋 琵琶湖疎水 蹴上附近 回答 取材済 書籍[1]参照
[20] 奥田端橋梁 東海道本線 山崎駅~高槻駅間 回答 取材済 書籍[1]参照
[21] 門ノ前橋梁 東海道本線 摂津富田駅~茨木駅間 大阪府茨木市上泉町 公開中 書籍[1]参照
[22] 東除川橋梁 南海電鉄高野線 狭山駅~狭山遊園駅間 回答 取材予定 書籍[1]参照
[23] 安井橋梁 東海道本線 西ノ宮駅~芦屋駅間 回答 探索中 書籍[1]参照
[24] 東皿池橋梁 東海道本線 西ノ宮駅~芦屋駅間 回答 取材済 書籍[1]参照
[25] 第130号橋梁 桜井線 金橋駅~高田駅間 回答 未訪問 書籍[1]参照
[26] 欅坂橋梁 日田彦山線 採銅所駅~香春駅間 回答 未訪問 書籍[1]参照
[27] 旧折尾高架橋 旧西鉄北九州線 折尾東口駅~折尾駅間 回答 未訪問 書籍[1]参照
[28] 橋梁 駅~駅間 回答    
[29] 橋梁 駅~駅間 回答    
[30] 橋梁 駅~駅間 回答    

備考・参考資料[ 1 ] に掲載されている1956年頃に撤去された旧屋ノ棟川トンネルは現在の野洲電車区北東端附近に、昔は家棟川と言う天井川があり、この家棟川の下を東海道本線が走っていてトンネルになっていたようです。 航空写真で確認すると、1948年には川の下を走っている写真になっており、1961年の写真では川を分断して新線が設置されています、1967年の写真では電車区の造成工事が行われているのが判ります。 

参考資料 [ 1 ] 鉄道と煉瓦 その歴史とデザイン 小野田滋 著(鹿島出版会)     

       [ 2 ] 鉄道構造物探見 トンネル、橋梁の見方・調べ方 小野田滋 著(JTBキャンブックス)

まんぽの部位名称の詳細につきましては「構造物って何だろう」を参照願います。

東海道本線に見られるねじりまんぽ 門ノ前橋梁 円妙寺橋梁 馬場丁川橋梁 (仮称)一ツ軒橋梁

                                 甲大門西橋梁 小田川橋梁

関西鉄道に見られるねじりまんぽ 第248橋梁 第272橋梁 鳥谷川橋梁 

京都鉄道に見られるねじりまんぽ。 第91橋梁